横浜市磯子区にある、精神障害のある方たちが通う地域活動支援センター、
スペース杉田の小山淳さんに、施設での文化芸術活動について
お話をうかがいました。
スペース杉田では、現在個人の活動として絵を描いたり、
ギターサークルなどのサークル活動が行われていたり、
それぞれが楽しめる活動をおこなっていますが、
過去には指導者に依頼して練習し、原宿のよさこいダンスに参加したり、
映画を自主制作してジャック&ベティで上映したこともあるそうです。
それは、精神障害がある方の存在を知ってもらったり
理解してもらったりするためのアピールとして考えてきた活動だった、
と小山さんは話します。
自主制作映画はもともと、ある俳優の大ファンだったスペース杉田のメンバーが
その俳優のものまねをしていたことから始まり、
他のメンバーや職員、顔なじみの地域住民も巻き込んで実現したそうです。
映画製作以外でも、区役所の紹介で地域のサークルとつながりを持ったり、
地域のお祭りで弾き語りライブしたりと、
なるべく施設の外に出ることを大切にしていました。
また「芸術の意識はなく、みんなで楽しむことを重視している。」とも話します。
地域のひとと一緒になって楽しむ機会をつくることで、
自然と精神障害がある方たちが地域に溶け込むことができていたのでしょう。
現在は、自主制作映画で参加していた利用者が施設を退所するなど
さまざまな事情から、映画製作やよさこいダンスといった
大勢で取り組む活動は行っていないそうです。
ただ、『精神障害がある方の存在にもっとスポットを当てたい』という思いは変わりません。
「精神障害がある方による芸術活動や作品をあまり見かけない気がする。」
「福祉施設に文化芸術の情報がなかなか入ってこないので、情報提供があるとよい」
といった課題があるのではないかと指摘します。
地域とのつながり方や、障害に対する理解をしてもらう手立ては文化芸術だけではありませんが、
表現を楽しむことが人と人との距離を縮めるのだと感じられるお話でした。
(2017/5/1訪問 川村)
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※スペース杉田の施設長・小山淳さんは2017年5月12日にご逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。