JR茅ヶ崎駅を降り、どこかレトロな雰囲気が漂う店が並ぶ道を
分岐に迷いながら10分ほど歩くと、
松林のなかに建つ茅ヶ崎市美術館にたどり着きました。
今回は学芸員の藤川悠さんに、美術館と障害のある方のかかわりについて
お話を伺いました。
茅ヶ崎市美術館は、神奈川県内4館の公立美術館の館長・学芸員などが
多様性を認め合う社会を目指して、
美術館の教育普及事業をどのように展開すべきかを検討する
「マルパ(MULPA:Museum UnLearning Program for ALL /
みんなで“まなびほぐす”美術館―社会を包む教育普及事業―)」
というプロジェクトに参加しています。
7月には第1回のフォーラムが開催され、
藤川さんも実行委員として関わっていました。
フォーラムでは、オープニングトークのテーマを
「障害を超えるアートプログラム・美術館とは」とし、
その後のワールドカフェは実際に障害を抱える当事者の方を交えながら、
「みんなで楽しめるアートプログラム・美術館」について
参加者で考えを深める内容でした。
「フォーラムでは『障害者だから』ということではなく、
『人に違いがあるのは当たり前』ということをテーマに考えていた」
と藤川さんは話します。
それは茅ヶ崎市美術館で藤川さんが感じている障害がある方への考え方でもあります。
「障害者を『助ける』のではなく、一緒にたのしむような取り組みがしたい」
と、現在構想している障害のある方との企画を話してくださいました。
「障害者との関わりをはじめ、互いの違う感覚を共有することは、
なにかを生み出すことにつながるのではないかと考えている」と、
多様な人との交流・情報交換の場への期待を藤川さんは主張します。
それぞれの現場で、それぞれが実感していることを分かり合うことは
むずかしさもあると思います。
しかし、他分野の状況も含め、“違い”を知ること自体に
アートや美術館のあり方が広がる可能性につながるのだと感じました。
(2017/6/8訪問 川村)